吉田慎悟氏の「高津景観パトロール」TKP1~5

二ヵ領用水のフェンス

高津の景観パトロール1

これまでも、自宅の近くを散歩した時に撮った写真を何回か載せましたが、色彩を中心に気になった景色を紹介します。家の前を流れる二ヵ領用水のフェンスの色を測ると5G 3/1あたりでした。

塗り替えた時から随分と時間が経って退色しているので、彩度はもう少し高かったと記憶しています。以前このフェンスの色は鮮やかな青緑に真っ赤なアクセントカラーで塗られていました。塗り直しの際にダークブラウンと比較しましたが、地元でアンケートを採り、この色になりました。彩度が1でもこのような環境の中では、十分に緑色の感じがあります。枝垂桜のマスが小さく、桜の木が弱っているようで心配です。

二ヵ領用水のフェンス:5G 3/1

測色日:2021年5月4日

測色者:吉田慎悟



新作マンションの防護柵

高津の景観パトロール2

新作にあるマンションの営繕委員会から相談があり、大規模修繕の色彩について協力しました。今回は建築物だけではなく、ガードレールも塗り替えました。右下に以前の白いガードレールの写真も載せます。ガードレールは国土交通省で推薦している”景観に配慮した防護柵”の色にしましたが、建築物も同じ10YRの色相でまとめました。ガードレールの色が変わるだけでも随分ときれいになります。グレーチングの枠のさび止め色も早く塗ってほしいですね。

新作マンションの防護柵:10YR 6/1

測色日:2021年5月1日

測色者:吉田慎悟



溝の口ポレポレ通り商店街舗装

高津の景観パトロール3

JR南武線と東急田園都市線が交差している溝の口駅の周辺は、多くの商店街があり、賑わいがある。この中のポレポレ通り商店街は、以前彩度が高い舗装材に貼り替えたが、現在は舗装材の色は剥げてほとんど色味がなくなった。舗装の色がおとなしくなって色彩環境としてはかえって良くなったと思うが、色褪せた感じはちょっとみすぼらしい。せっかくお金を掛けて舗装をやり替えるならばと頑張って派手な色彩を選択する商店街は全国にあるが、舗装の色彩よりも個々の店舗のファサードデザインやディスプレイの質を上げてほしいですね。(右下の写真は結構前に撮った写真ですが、舗装はすぐに退色してしまっていたので、記憶をたどって施工時の色彩で着色してみました。当初は斑がなく、この写真よりももっと派手な感じだった)

溝の口ポレポレ通り商店街の舗装:10R 5/6、5YR 7/1

測色日:2021年5月4日

測色者:吉田慎悟



多摩川河川敷のトイレ提案

高津の景観パトロール4

多摩川の河川敷を散歩していて、バーベキュー広場の仮設トイレが真っ青なことに気が付きました。青は清潔感があるというのでしょうね。広々とした河川敷の景色が楽しめるように、もう少し目立たない場所に置くか、植栽かフェンスで隠すか、あるいはもう少し落ち着いた色のトイレを作ってほしいですね。色はグレイベージュか、深緑色くらいがいいですかね。2つの色彩提案を載せてみます。

多摩川河川敷のトイレ提案①:10YR 6/1、10YR 2/1(扉)

          提案②:5G 3/3、5G 7/1(扉)

測色日:2021年5月14日

色彩提案:吉田慎悟



岡本かの子文学碑

高津の景観パトロール5

高津区の二子神社に接して、岡本かの子文学碑が建てられている。モニュメントは岡本太郎が制作し、台座は建築家の丹下健三が設計したが、補修した際に台座のコンクリートの素材感等が変わってしまったように思う。フェンスがあったが、入ってみると青いモザイクタイルを貼った階段があり、上がってみると景色の変化が結構面白い。作者もこの階段を上がってモニュメントに接するようにデザインしたようだ。周りにはサイン等が乱立しており、モニュメントの補修ばかりでなく、周辺も整備して、親しめる場にしてほしい。

岡本かの子文学碑の周りがどのようになっているか、写真を載せます。このように文学碑の周りは人が入れないようにステンレスのフェンスがつくられ、文学碑のサインや解説がいろいろなところに設置されています。おまけにモニュメントを見上げると電線の方が目につきます。交通安全ののぼり旗もここには付けないでほしいし、駐車禁止のコーンももう少し何とかならないものか。このいろいろなものを取り除いた写真も載せてみます。この程度に整理されると、岡本かの子や太郎や丹下健三のことも少しは考えてみたくなります。場の雰囲気が大切ですね。いろいろと取り付けるよりも、取り除くことで、モニュメントが多少活きてきます。

岡本かの子文学碑:N9.3(モニュメント)、10Y 5/0.5(台座)

         7.5PB 3.5/13(階段)

測色日:2021年5月14日

測色者:吉田慎悟