2021 color salon libraly

2021年前半開催のカラーサロンで発表されたプレゼンテーション内容を、事務局より紹介しています。


SALON 1月22日

 色彩の基礎造形

 吉田愼悟氏(カラープランニングコーポレーション クリマ)

 

本日最初のプレゼンは、環境色彩の第一人者であり、武蔵野美術大学でも長く教鞭をとられていた吉田愼悟先生に、「色彩の基礎造形」をテーマにお話いただきました。

 

多くのデザイン学校が、商業的なデザイン手法を教えることが多い中、吉田先生は、すでに開発されたデザイン技法ではなく、色彩が私たち人間にどのように見えるかを研究してもらいたいという思いで、学生さんたちの色彩演習を考えられるそうです。実際に学生さんたちが取り組んだ演習での作品を見せていただきながら、プレゼンをしていただきました。

授業において、吉田先生は「色彩の現象学」と題されて、配色、モノの色、光の色、空間の色と、4つの演習をされるとのこと。最初の「配色」では、25×25625の正方形を着色して色彩の現象性を探っていきます。この時、具象的なものは避け、飽くまで色彩自身を見られるように配慮します。ここでは、出来上がった作品を見ながら、繋がって群化したり、逆に分節する色の様子を観察し、また、色の違いで様々な図像が見えてくる様子を観察します。そして、と演習が進むにつれ、学生さんたちは、自分たちの作品の中に隠れていた、さまざまな色彩の現象に気付き、作品を進化させていきます。

「デザインの仕事ですぐに使えるものではないかもしれないが、卒業した後にも、ずっと色彩の世界に興味を持ち、探求を続けていって欲しい。色彩探求の面白さを知って欲しい」と吉田先生はおっしゃいます。プレゼンでは、ほかにも多くの実験や、作品を見せていただき、学生さんたちの色への関心や、探求心の強さが感じられると共に、プレゼンを通して、色との接し方の多様さも学ばせていただいた思いでした。



富山県魚津市の色

上杉ひなた氏武蔵野美術大学吉田ゼミOG

 

本日二本目のプレゼンは、先にプレゼンをお願いした吉田先生のゼミの卒業生・上杉ひなたさんにお願いいたしました。

直前にプレゼンデータが破損するというハプニングがあったにも関わらず、多くの写真と共に、地元富山県魚津市の色彩についてお話しくださいました。

 

魚津には特徴的な青緑の荷捌き場があり、魚津市というと思い浮かべるのはその色とのこと。そして、吉田ゼミに入ったきっかけは、自分の街の色に自信を持てなかったからだそうです。しかし、大学入学をきっかけに上京した際、東京近郊の、どこも同じような街並みを見て、自分と同じように自分の街に自信を持てない人は多いのではないかと考え始めたとのこと。そんなときに吉田先生の景観色彩計画に出会い、自分の街を好きになることが出来るのではないかと思ったとのことです。地元魚津の写真や、上杉さんが日々見つめている景観の写真を見ながらお話くださり、上杉さんの思考の軌跡を追うように展開されていく映像作品を見るような、不思議な体験型プレゼンテーションとなりました。コロナ禍で散歩が日課となり、自分が美しいと思った景色が、いったどんな色彩が重なった結果そうなったのかと日々考えるそうです。
質疑応答では、国内外問わず、各地の特徴的な風景や色彩が話題となり、街中での近景から遠景への視線の流れ、電線のこと、古いものを残すということ、雪が積もった時にだけ現れる日本らしい家々の形など、様々な視点で街並みを見る意見が交わされました。



salon 2月19日

サカガミタカオのグリーンの世界

坂上たかお氏(サカガミタカオの「オレンジの世界」)

 

去年の4月から田舎暮らしを始めました。

私が住んでいる小川町の紹介や田舎暮らしのメリット・デメリット、グリーンの素晴らしさをお伝えいたします!

ついでに田舎で撮ったオレンジ写真もご紹介(^o^)

 

昨年4月より、埼玉県比企郡小川町に移り住み、「プチ」田舎暮らしを始められたオレンジアーティスト・坂上たかおさんにプレゼンをしていただきました。

サロンでは以前にも、坂上さんが惹かれて止まない「オレンジの世界」をテーマに、その作品をご紹介いただきながら、オレンジの魅力についてお話いただいたことがあります。今回は、プチ田舎暮らしの中で見つけた「グリーンの世界」をお話いただきました。グラフィックデザイナーである坂上さんの視点を通して、田舎暮らしのメリット・デメリットや、グリーンの持つ心理的効果について、ご自身の体験に基づいて、随時質問にもお答えいただきながら、楽しくお話いただきました。写真の中に現れる自然の中の色彩の豊かさが大変印象的で、空の青さや草木の緑もさることながら、300本おひとりで収穫されたというキュウリの緑や、オレンジ好きだけに夢だった干し柿作り(大量のオレンジ!)、つやつやした茄子の紫、くりの艶やかな茶や、ぬか床の優しいベージュ。都会ではさほど気に留めない日常の中にある自然の色が、緑を背景に鮮やかに浮かび上がり、改めて自然の色彩の豊かさに気付かされると共に、プチ田舎暮らしの充実ぶりが伺えました。

山に囲まれているため、夕日が見えないのが残念とのことでしたが、囲炉裏の火と白熱球の不思議な調和や、紅葉の色の山いっぱいに広がる様を写した、新作の「オレンジの世界」も、深みがあり暖かく、大変美しいものでした。

やはり坂上さんはオレンジ!プチ田舎暮らしの続報、お待ちしております。